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横浜遊学記



5:エチゼンクラゲと中華料理

5:エチゼンクラゲと中華料理_e0026795_1756069.jpg日本海域沿岸で、エチゼンクラゲが大量発生してニュースになっていますね。この種類のクラゲは大きい個体だと200Kgにも達するそうで、多く定置網にかかると網が上がらず切断せざるを得ない状況になるそうです。加えて触手には毒素があるために、一緒に網にかかった他の魚介類を殺してしまったり皮膚を傷めてしまうために商品価値を下げてしまうのだそうです。テレビで取材を受けていた漁師さんたちも落胆の色を隠せない様子でした。

テレビの報道はここまでで終わっていたのですが、大量に発生しているということを利用してなにかビジネスが出来ないかなと思ったので、Webで5分ほど調べてみました。すると、発見しました有力な利用方法。なんと、中華料理には高級食材として利用される食用クラゲの一種だったのです。昨年、エチゼンクラゲの大量発生に悩まされてクラゲアイスやクラゲ寿司といった新商品を開発して懐を潤した食堂のニュースも発見することが出来ました(本業の漁で得られるはずだった収入からすれば焼け石に水なのは目に見えていますが…)。しかもかなり好評だったとか。

素人頭に考えると、「じゃあ、クラゲ一杯捕って売ればいいじゃん!」となるのですが、加工方法がかなり特殊らしく、捕獲量が毎年一定でないエチゼンクラゲのために多額の設備投資をすることには二の足を踏んでしまうという状況なのだそうです。確かに、すでに文字通りの美味しい思いしてるのなら(美味い解決策があるのなら)ニュースになんかならないはずですからね。

ではこの現象がどのくらいの頻度で起こりうるのかまた起こってきたのかを予想するために大量発生の原因を調べてみました。おおまかに分析すると以下の通りなのだそうです。

1.海の富栄養化によってクラゲの餌(プランクトン)が増大
2.乱獲によって魚が減少。さらにプランクトンが余る
3.水温の上昇でクラゲが越冬可能(クラゲの寿命は2年ぐらいらしい)
4.海岸線の改修工事によりポリプの付着面積と生残率が増大

4.のみは一時的な要因ですが、1.~3.の要因については我々の消費活動パターンが大きく変化しない限りはほぼ恒久的に与え続けられる海に対する影響ですよね。つまりは、これからも非常に高い確率で同じ様な問題が起こると考えられるわけです。

5:エチゼンクラゲと中華料理_e0026795_20551100.jpg漁業に携わる人たちにとっては今までの生業の形を大きく変えることは非常にリスキーだと思います。上に記述されている原因だって、100%正しいわけではありませんし、まだまだ解明されていない原因が潜んでいるかもしれません。でも、クラゲは大量発生しているし、それはうまく加工すれば高級食材として高値で売却できるわけですよね。痛い状況を一変させるような方法があるはずです。

"(株)エチゼンクラゲ"という会社を立ち上げて、海岸線沿いの港町でクラゲを買い取って回って自社の設備で食材に加工する会社を立ち上げるというのはどうでしょうか。猟師の人たちにとってみれば、①設備投資というリスクをしょわずに②エチゼンクラゲを資産化できる…というとってもオイシイ提案です。①普段よりもダメージが大きい定置網に対する保障金②海域ごとのブランド化…などもサービスに取り入れたら喜ばれるのではないかな、なんて。加工したものを逆に港町に卸して、エチゼンクラゲ料理の材料として利用してもらうのもいいかもしれません。

その年の気候とか他国の漁業活動の盛んさに大きく左右される仕事であることは間違いないため、不安定な収入源を安定させるために、エチゼンクラゲを徹底的に研究して情報提供するサービスとかも良いかもしれません。「今年は**の海域にエチゼンクラゲが大量発生する可能性が高い」「**海域のエチゼンクラゲは非常に高値で取引されています」とか。エチゼンクラゲさん、なんか邪魔者のように扱われていますが、これから長い付き合いになる可能性も否定しきれないならば徹底的に付き合い方を考える必要もあるかなと思います。すでにこんな会社があったりして。

個人的にはクラゲよりきくらげの方が好きです。

*写真1「ぎをん森幸」の「黒米のおこげの五目あんかけ」
*写真2「漁業調査船 蒼鷹丸」
*参考Website「ASHINOKO ONLINE」
by yokohama-yugakuki | 2005-07-25 18:33 | ⑥Issue
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