経営系の学部で学ぶ大学生なら誰しも、MBA(Master of Business Administration/経営学修士)という単語を聞いたことがあるはずです。有名なところではハーバードやスタンフォード、最近では一ツ橋や神戸、早稲田や慶應などの日本の大学院のMBAを目指す人も多いようです。
経営系の学部で学び、来年から社会人を始める私も最近少しだけリアルにこの言葉を意識するようになりました。一番最近読んだのがこの本です。驚いたのが読みやすさ。MBAを取得しようと思うに至った動機から予備校の選定、受験の苦労に現地での生活の彩り。出来事とその時の心境が素直に綴られている印象を受けました。
著書に書かれていたMBA取得の目的の1つに、自分のキャリアの"選択肢を増やすこと"というものがありました。著者はNHKで音楽番組の制作に関った後でコロンビア大に留学していますが、その後のキャリアは経営コンサルタント。マスコミからコンサルって、普通に転職活動していたらおそらくたどらないであろう経歴ですよね。中には48歳で入学した女性の話も出てきます。ステップアップの手段であると同時に、自分の価値観を見つめ直した上で将来の選択の幅を大きく広げる機会を持つことが大きなメリットのようです。
本にはシェイクスピアを使ってリーダーシップを教える講義や、業績V字回復を専門に請け負ってきた元コンサルタントの授業など、興味をそそる内容が綴られています。おそらく、情報としてなら日本で得ることも可能なのだけれど、本当に価値があることはリアルタイムで世界中の優秀な人間と議論やHomeWorkをこなしながら共有できる時間だと思わせる描写でした。
世界中から学生が集まっている環境は日本ではなかなか再現が難しいし、そもそも英語で育まれた学問だから現地で学ぶのが一番いいのかと思います。私費留学だと1000万円はかかるみたいですが、その後しっかり就職できれば数年でローンも返せるようですし。こういった外因的な問題よりも、本当に入学する価値のある人間になることを気にしなきゃですね。
どうでもいいのだけれど、佐藤さんはICUの知り合いに顔が似すぎです。
*「ゼロからのMBA/佐藤智恵/新潮社/1400円(Book-off購入なので105円)」